運命のヒト

「きっしょいこと言うなよ!」

俺が軽くキレても、健二は、

「お前の方が絶対、いい男や!」

って言い放つ。


「意味分かんねぇ奴・・・」


タケルは一緒にいた男達と別れて、一人の女と一緒に座り込んだ。


「あれって、タケルの女なんか?」

「いや、違うだろ。
 タケルって、女作らんって有名やし。
 遊びだろ、遊び・・・」


健二の顔が曇り始めた。

こいつ、まだ薫のこと引きずってんのか?

俺は、そんなことを思って、聞いて見る事にした。


「なぁ?お前は?」

「何がだよ??」

「女とかどうなってんや?」

「俺は、もう女にはマジにならねぇよ!」

俺が聞くと、健二はすぐにそう答えた。

「まだ、薫のこと引きずってんのか?」


とうとう、聞いてしまった。

ずっと、聞けなかったことを・・・。


「アホか?もう、1年も経ってんやぞ!
 薫のことはとっくに忘れたわ。
 あいつのことは関係なしに、
 もう女は作らんのや。
 俺も、女や遊びで十分やし・・・」

「へぇ・・・。
 遊びの女がかわいそうやな。
 まぁ、あんま最低なことはすんなよ」

俺がそんなことを言うと、

「お前の方が最低だろ?
 美鈴のこともっと大事にしてやれ!」

健二にそう言われた。