運命のヒト

俺はそのまま、一番奥の席に向かった。


本を読むわけでもなく、水嶋達を気にするわけでもなく、ただそこにいた。


一時間はとても長く感じた。



チャイムの音が鳴って、みんなそれぞれ教室に帰っていく。


俺は、みんなが図書室から出て行った後、一人で下駄箱に向かった。


案の定、そこに健二がいた。


健二は俺を見るなり、

「図書室、どうだった?」

って聞いてきた。

「別に・・・」

俺は、そう答えるしかなかった。



やっぱ、行くんじゃなかった。

って、何で俺はこんなにイライラしとんや?

別に、水嶋が男としゃべってようが俺には関係ないだろ?


ただ、可愛いだけだろ?

もう好きなわけじゃないよな?

俺は、何度も自分にそう言い聞かせた。


だけど、運命って残酷や。


いくら、俺が水嶋のこと忘れようとか、これ以上関わらんようにしようと思っても、偶然を装って、やって来る。


俺とお前はいつから運命で繋がれていたんだろうか?