ふぅ…とりあえず、これで準備はできたわ、あとは実家に向かうだけね。さすがに連日で行ったら、いくらなんでも怪しいから、少し日を置いてから行こう…


あの店から帰ってきたさちは、そんなことを考えながら、マンションの鍵を開けていた。

「あ、そうそう…え~と、そうね~……あなたは…コウジ!コウジに決定!」


彼女は振り返って、男に指を指しながら言った。男はスーツを芝樹に着せてもらっており、サラリーマンの様に見えた。


「わかった。」


さちは、それを聞いた後、部屋にあがり、コウジもその後に続いた。



「少し、散らかっているな。」
「え?…そう…かな?」


コウジが部屋に入ってきての第一声に、さちは面食らってしまった。


…う~ん、確かにそうかも。まぁ、昨日今日とバタバタしちゃったからな~……って、こいつサラッときついこと言うわね。


「片付けてしまおう。しかし、腹も減ったな…」

コウジは、顎を触りながら数分唸ると、小さく、よし、と言った。

「君は…料理は得意か?」