「あ、あの…タケシは?」
「タケシ?」

芝樹は、最初何のことかわからなかったみたいだが、すぐに察したようだ。

「あぁ…前のヒトのことでございますね?大丈夫です、既に回収致しましたから。…もしや、またあのコがよろしいのですか?」

「え?いえ…そういうわけじゃ…」


さちは、今日の実家での事を思い出していた。


…父さんは、年齢が高い人が良いみたいだからな~タケシをもう一度連れていっても結果はおんなじだよね……


…そうなると…


彼女は、向かって右のケースに歩き始めた。中には前と同じように、36歳程度の男がいた。


…この人なら父さんも大丈夫って言うだろうし…私も甘えられるかもね…

彼女は一瞬考えた後芝樹にはっきりと告げた。


「この人がいいわ。」
「かしこまりました。」


さちの声に澱みは無かった。