私が起きたことに気づいた先輩が顔を上げた。



けど、心なしか驚いていたような気がする。



気のせいなのかも知れないが。



「君、こんな所で寝ていては流石に春と言えど風邪ひくよ。」



先輩は、本を閉じるとそう私に微笑みかける。



「はぁ…ご親切にどうも。」



一方の私はまだ寝起きからかあまり良いとは言えない返答をし身体をお越し、座り直した。



「…君は、一年生?」



大きく欠伸をして身体を伸ばすと先輩はそんなことを聞いてきた。



何を言ってるんだとこの時はそう思った。



「…そうですが?」

「…そう。」



意味が解らない。



この時の私は何も知らなかった。



この人が生徒会長だと言うことも、学園王子だと言うことも。


首を傾げて立ち上がる。


「1-Ⅲ姫谷 華南です。」


一応、ブレザーをかけてもらっていたのでそのお礼で頭をさげ、これも一応自己紹介をして中庭を後にする。


これが玖城 啓志先輩との初対面だった。


そして、次に玖城先輩とあったのは全校集会。


舞台の上で凛々しく演説をしている先輩を見て、私は初めて事の事態に気がついた。


あの時の人は凄い大物だったんだと。


玖城 啓志先輩、2年の時から生徒会長をしていた王子様。


が、そこで気づいた所で皆みたいにキャーキャーとは騒げない。


その姿をぼーっと眺めて私はめんどくさいが為に全校集会を抜け出した。


これが私が玖城先輩を見てもキャーキャー騒がない利用。


興味もないし、どーでもいい。


それを抜かして、騒ぐタイミングを失ったのだ。