俺様王子の秘めゴト

名前を叫ばれた。



誰だよ!!



呼び声に振り返る。



とそこにいたのはストーカー英にぃ。



「今構ってる暇…」
「ホテルの花屋に頼んできた!」



は?



「すぐありったけの花、持ってきてくれるってよ!!!」



…お兄様!!!!!!!



よく見ればホテルのスタッフを掴んでいた。



成る程、流石だよ。



「華南さん…」


「大丈夫、なんとかなりそうだから。」



落ち着け。



落ち着け自分。



花は何とかなった。



次は活けなければ。



大丈夫、大丈夫。



会場内もざわざわとし始めた。



やっぱりメイン装花がぐちゃぐちゃになったのは大きかったようだ。



深呼吸しながらお父さんの方を見る。



しかめっ面。



やっぱりそうそう上手くいくものじゃないね。



…よし。



英にぃが掴んでいるスタッフさんと会場内に戻ってきたのと一緒に大量の花も運び込まれてきた。



「あとは、自分で何とかしろ。」



花を周りに広げ終わると耳元で英にぃがそう言う。



そんなこと言われなくても分かってる。



こくんと一回頷くと門下生達が用意してくれた鋏や水が張ったバケツの乗ったテーブルに向かう。



これは私の個展なんだ。



私がやらなきゃ。



そう言い聞かせ鋏を持った。