「短い間でしだがお世話になりました。」



言い争いをしている真波先輩、玖城先輩。



戸惑っているあゆ先輩、三郷先輩に頭を下げ、ついでに元町先輩にも頭を下げて私は生徒会室を出ていった。



解放…されたんだよな。



でも何だろうこの虚無感は…。



まるで穴がぽっかり空いたみたいだ。



「華南!華南!」



後ろから両肩を掴まれ後ろに引っ張られると抱きしめられた感覚と頭をぐちゃくしゃにされた感覚。



…。



「英にぃ。」

「妹よ、会議が早く終わってな、帰ろっか!」



帰ろっかって…



「堂々と抱きしめないで下さい。」



ウザいから。



「まぁなんだ良いだろ。ほら、行くぞ。」



何がいいんだ?



英にぃは手を離すと先に歩き出す。



「華道家元の娘ねぇ。お前が母さんが再婚したあとも親父に会いに来てくれて助かってるよ。」

「別に。」



私はお父さんに会いに行ってる訳じゃない。



稽古をしに行ってるだけだ。



「別にねぇ、でもまぁお前のお陰で俺が華道やらずにすんで良かったよ。」



お父さんの家系は代々続く華道一家。



その当主を今はお父さんがやっている。



だから私は華道家元の娘と言うこと。



「英にぃだって出来るのに、何で逃げるの?」


「あんなめんどくさいもん出きるか。」



駐車場にある車の一台の前で止まる。



「華南、鍵。」



運転席のドアの前で手を差し出す英にぃ。


私はポケットから昼休みに英にぃから受け取っていた鍵を返す。


英にぃはその鍵を受け取り車に乗り込んだ。