「まぁ別に不安でも構わないが、姫谷、三郷らが血眼になって探してるぞ。」






血眼って…言い過ぎ。







「何故辞めた?」




単刀直入に聞いてくる元町先輩。





常に直球。





もっとオブラートに行こうよ。





「元町先輩には関係ありません。」






踵を返し歩き出す。





「困るんだよ、君に辞められると俺達が困るんだ。」





は?意味わかんない。





「なんで困るんですか?」



私なんかいなくても成り立ってるじゃん。



「玖城の怒りの矛先が俺達に来るんだよ。」



…………。





「君がいたときは平和だった。」






何が言いたい。





「姫谷、戻って」
「来ませんから。」






足を止める。






「随分と勝手ですね。」




振り返り、元町先輩を見据えて。





「私は元々あの人に騙されて補佐にされたんです。」




そう。




始まりはバッチを手渡されたこと。




それを私は意味も知らずに受け取った。




「それをこの2ヶ月近く、文句も言わずやって来た方が疑問なんですよ。」





辞めて当然。




そもそも私は玖城 啓志なる人物に興味も無かった。





それを人の意思を無視して補佐にしたのはそっち。




「何かご意見は?」




腕を組む。



意見なんて言わせない。





「…なるほど、無難な意見だな。」



は?


なにそれ。






「俺はてっきり玖城の暴君っぷりに嫌気がさしたのかと思ったよ。」