「リオ〜ン、帰ったぞ〜!」

普段通りの明るい声で
リオンにただいまの挨拶をする健治

「アーアー、オアアイ」

あまりに聞き取りにくい
リオンの声を聞き

健治はすぐに電話の内容を現実として受けとめた。

はっきりと話せていない。

自分の声が聞き取れないから

発音がわからないんだ。

耳が不自由な人は、うまく喋れない。

それは周りの声や、自分の声を聞き取れないから

発音がわからないからである。

そのことを健治は知っていた。

だからすぐにリオンの状態を
察知することができた。