小さくキスを交わして緑の木々に彩られた緩いスロープを駆け降りてゆく陽歌の後ろ姿を眩し気に見詰める晃に、愛するもう一人の女性の姿が重なる。

いつの間にかすっかり太陽はその姿を表し、木々の間から零れる朝の陽射しが、陽歌と晃にキラキラと降り注ぐ。

夏の朝独特の爽やかな風が木々を揺らし駆け抜けていった。


ふわり…


その時、晃を抱きしめるように優しい風が吹いた。


――晃……私は幸せよ ――


茜の残した想いが大気に満ち溢れ、二人の未来を抱きしめるように包み込んだ


優しく甘やかなその香りに愛しい想いが溢れ出す


ああ、そうだね茜。


三人で一緒に幸せを見つめていこう


必ず幸せにすると誓うよ…


君の瞳に…



++ Fin ++