婆ちゃんの恋物語

麻ちゃんの家からの連絡は、年末になってもなかった。

「明日、正月や言うのに、お母さん、何の連絡もして来うへんなあ。一回病院行ってこうかなあ。」

「山田さんに、頼んだらええやん。」

「それが、最近見かけへんねん、忙しいんやろなあ。」

「寂しいなあ〜。」

「靖ちゃんもやん。」


隣の部屋になったんやけど、その次の日辺りから、誠さんと巧君は、毎日出歩いてはって、喋ってくれる事も少なくて、

「時計返してへんなあ。」

「そうや、腕時計、隣やから、おばちゃんに返してもええんやけど、なんか、巧さんにちゃんと、お礼言いたいし。」

「持ってたら、なんや安心するんやなあ。うちもやで。」

「コチコチ言う音が、安らぐやんなあ。」

お互いの片思いを、口には出さへんけど、しっかりわかってたんよ。