婆ちゃんの恋物語

耳元で聞こえる、靖ちゃん声、なんかいけずに聞こえたわ


「こんばんわ。すいませーん、七輪の古いんやけど、いらん角材入れて、燃やしてるから、此で、寒さ凌ぎして。」

巧君が、七輪を持って来てくれたんは、二人の会話が途切れた時やったわ。

「暖かいわ、寒かったから、二人で、この通りへばりついててん。」

うちが、おちょけて言うて、靖ちゃん見たら、下向いてたん。どないしたんやろう思て、七輪の明かりが、靖ちゃんの顔を見せてくれてん、なんや、恥ずかしそうな顔やってん、
うち、鈍いからピンとこうへんかったわ。

うちが、靖ちゃんみたいやったら、ピンと来てたかなあ。
靖ちゃんの恋心、うちは、また後で、知ることになるんやけど、
今は、温かい七輪に、ホッとして、気も頭も廻らへんかってん。


「わざわざ、すいません。」

「少尉に頼まれたから。」

「街の様子は、どうなんかしってはる?」

「僕も、外に出てないから、ようわからん。