婆ちゃんの恋物語

夕方、帰る時間過ぎてた。帰れないのわかってるんやけど、落ち着く場所が無くて、寒いけど補修中の事務所の前に置かれた角材に、腰を下ろして見えるはずない、街の方に目をやって、二人無言やったん。

「おい、一人、夕飯の用意手伝いに行け。」

大谷さんが、離れた所から、此方を見て大きい声で声かけて来はった。

「うちが、行ってくるわ、麻ちゃん、怪我してるから、ここで、待っててなあ。」


靖ちゃんが走って行ってしもたんを、目で、追っかけてたん。

時の寒い風が吹き抜けて行った

「おい、一人か?珍しいなあ。」

「靖ちゃん、夕飯の用意頼まれて、うち、鈍臭い事して怪我したから、」
「高見、お前は、麻ちゃん言われてるん。?」

「はい。」

「僕も、麻ちゃんて呼ぶわな。」

「そんなん、」

「そんなん、あかんか?。」

靖ちゃんが、腰を下ろしてた場所に、少尉が、腰を下ろして、
何を茶化してはるんやろう。
耳が熱くなって来てたん。

「茶化さんといて下さい。」

「茶化してないで、僕の名前知ってる?山田誠、少尉やのうて、誠さんやで、」

「そんなん、呼べません、大谷さんや、皆に怒られます。」

「僕の前だけで、ええわ、皆居らんとき。なっ、麻ちゃん。」