婆ちゃんの恋物語

挨拶を返したものの、周りを気にして、周りを見渡してしまってた。
休憩時間やから、人の通りはなかって。ホッとした。

「少尉さん、ずっと見かけへんけど、どっか、いってるん?。」

「丹波篠山に、伐採と搬出に行く言うてた。
明日は、戻るんちゃうかなあ。」

麻ちゃん、周りも気にせず、喋ってる。

事務職のうちらが、強制労働者と、会話するなんて、うちらは、怒られないにしても、巧君が、懲罰受ける可能性高いはずやのにな。

「こらー、角材持ったまま、何してるんや?。」

言わんこちゃない、大谷さんに、見つかってもうた。

「何をサボってるんや。」

言葉と一緒に、平手が、巧君の頬を打ってた。
角材は転げて、口角から、血が出て来てた。
うち、とっさに、自分のハンカチを無意識のうちに、巧君の口角にあててた。

大谷さんは、血を見て、罰悪そうに、それでも、
「さぼるなよ。」

怒鳴って事務所に歩いて行ってん。

「ごめんね、話し掛けたんは、うちらやのに。」
「靖ちゃんは、喋ってないやん、うちや、ごめんなあ。大丈夫。」

我に返った麻ちゃんが、青くなって、謝ってた。
「僕が、挨拶したから、、ハンカチ、汚してもた借りててええかなあ。」
血のついたハンカチを、国民服のポケットに押し込んで、ぺこりと頭下げて、また、角材を担いで離れて行った。

「なんや、悪かったなあ。痛そうやったし、でも、少尉の行き先わかって、良かったあ。」