婆ちゃんの恋物語

私は、風呂敷の中から、千代紙を出して来て、

「本に、落書きした昭さんへ、
勝手に消してすみません。本に書かずこの紙に書かかれたらと思い、挟んで置きます。」

小さな千代紙に、言葉を綴り、挟んでおく事にした。

「千代紙、大切にしてたんちゃうん、良いの?。」

「一枚だから、まだ、あるから、ええよ。千代ちゃんにも、好きなのあげる。」

「ありがとう、これ、貰って良いの?。」

「いいよ。」
物が、無い時代。おしゃれも出来ず、せめて、可愛い千代紙や、はぎれを集めて楽しんでた。
今じゃ考えれない話やね。

千代ちゃんと源氏物語の恋物語を、二人で読み合いをしてから、元の棚に戻して、算術の練習したりしてた。


「きみちゃん、あの落書き、誰が書いたんやろなあ。」

「さあ、気になるん?。」

「なんか、恋文みたいやん。」


「まさか、自分宛てやと思ってるん、えらい、あつかましい。」

「そやけど、あれ読んでるん、私ときみちゃんだけちがうん。?」

「どないやろな。他に居てはるんちがう。」

浮かれて話す。

千代ちゃんを呆れて見ながら。