婆ちゃんの恋物語

今みたいに、男の人と女人が、手を繋いで、笑いながら歩く事なんて、非国民やって言われる時代やったから、昭雄さんのお母さんに、なんて言われたかしらへんけど、
なんや、怒ってはったわ。
家は、どうもなかった。住む場所無くなったら、どないしょって、壕の中で、考えてたから、ほんま、玄関入って、ホッとしたわ。
夜が明けて、明るくなると空爆の爪跡が、あちら、こちらで、燃えた家の残骸になって現れてた。


「すんません〜!」

玄関から、声が聞こえたんは、昼辺りになってたんやろなあ。

「はーい。」