そして──、

学園祭最終日。

あの例のコンテストが待っている。
気が重くないと言えば嘘になる。

「波柴~!昨日はどこ行っていたんだ?お前がいなくなるから抗議デモが起こって大変だったんだからな!」

「デモ……って」
そんなことになっていたのか……。

「だから、今日こそはたっ~ぷり働いてもらうからな、フフフ」

その怪しげな笑みが恐いんですけど──!

「……でも俺、コンテスト出るんで途中抜けますね」

「楓が言ってたアレか……優勝狙ってるんだって?!」

「まぁ……できればいいなぁ~と」

賞金が目当てとは言えないよなぁ。

「頑張れよ」

それだけ?
てっきり、

『優勝したら賞金分けてくれ』

と言われるものかと。
意外だ、意外すぎる!
翔さんは俺が優勝するなんてありえないと思っているのか?
それとも……。





「では、最後に優勝者の発表です!」

「今年の美少年コンテスト、優勝者は……」

「二年A組 波柴千晶さんに決定しました──!おめでとうございます!!」

「マジ!俺がっ!!」

優勝しちゃったよ!
まさかマジで百万円!?

「尚、優勝者の波柴さんにはなぁ~んと!『豪華!全国温泉湯の素詰め合わせセット』を贈呈致します~!」

へっ?!
温泉?しかも詰め合わせかよ!
百万円は?優勝賞金は?

お決まりとなってしまったが……。

もしかして……、
これは。
俺も安易だったことにやっと気付く。翔さんも絶対知ってたな。

『単純なのよ、千晶は』
楓の声が今にも聞こえてきそうだ。

あのヤロウ~っ!!騙しやがったなっ!!!つーか!また騙された俺って……一体。

「出てきやがれ!楓ぇ~っ!」
その声はいつまでも体育館の中を響いていた。