執事やメイドやらブームに乗ってしまっている気もする……。

しかし!問題はそんなことじゃなくて!!

俺が実行委員である事実と、クラスで出し物をしなければならないという現実。

となればクラスの出し物を仕切るのは俺の役目。
めんどくさい……と言ってはいけないのだが、ここは声を大にして言いたい気分だ。


何にせよ、第一の大役を果たした俺は、席に着いて帰り支度していた。


「感謝してよね」

「翼か……ありがとうございます」

「何よそれ、全然心がこもってないっ!!私があの場で発言してなかったら、あんたなんか今頃……」

「はいはい。ところでさ『執事喫茶』って具体的にどうしたらいいんだろ」

「それは……」

「それは?」

「……私にもよく分かんない」

あのなぁ~っ!!

「思いつきで発言しました的な感じだな」

「ま、まぁ……重要なポイントだけは抑えておけば大丈夫よ!」

「重要なポイント?」

「そうっっ!!『執事』と言えばタキシード来て『お嬢様』って言っていればなんとかなる!!」

……そんなものなのかぁ。翼の根拠のない自信には少々疑問は残るが。
メイドがメイド服着て、『ご主人様』って言ってるのと同じ感覚と思えば……。

「とにかくここまで来たらやるっきゃないっ!!」

「そうそうその意気!!私は部活の出し物の方に参加するから出れないけど……頑張ってね!!」

えっ!?っておいおい。なんだよ、それ。

「マジ?」

「うん。応援してるから」

彼女の笑顔とは反対に、俺は一抹の不安を抱いていた。

『魔』の学園祭まで泣いても笑ってもあと二週間。
俺に残された道はただ一つ。

やるしかない……のだ。