そんなわけで不幸なことに俺は学園祭実行委員の一員になってしまった……。

因みにウチの学校はクラスや部活での出し物については強制ではなく、あくまでも自主参加型だったりする。
だから露店を出しても出さなくてもよいのだ。

実行委員にもなってしまった上にクラスの出し物までやってしまったら、忙しくなることは至極当然。できればそれだけは避けたい──。

しかし、実行委員の責任者である担任が黙っているわけもなく……、


「学園祭の出し物、案のある人居ませんか~?」


帰りのホームルーム。
皆の前で言わされている俺は地上最低、最悪のビンボーくじを引いてしまったことに改めて気付く。

どうしよ……誰も手を挙げてくれない。

この静かな沈黙が異様に長く感じるのは俺だけだろうか。


「はい!」
ここで助けてくれたのはやっぱり翼だった。

「桐生さん、どうぞ」

「執事喫茶なんてどうですか?メイド喫茶はありがちだし、つまらないかなって。たまには女子が男装してみるのも面白いと思います」

翼は俺の方を見てウインクをした。

なるほどっ!

普段、女装している俺にとっては人前で男に戻れる!唯一のチャンス!

彼女はそれを見込んで『執事喫茶』を提案してくれたのだ。

ありがとう~翼~っ!
今日はお前が神様に見えるよ……。


多数決の結果、めでたく?二年A組の出し物は『執事喫茶』に決まったのだった。