非情にも『日曜日』はやって来る。

俺の心とは裏腹に何故か天気だけはよい。
俗に言う『晴天』。
雲一つない『晴天』――。

「千晶様、お出かけですか?」

榊さん……っ。

溜息も去ることながら、俺は重い足取りで玄関に向かった。
もちろん、今日は『男の恰好』で。
いや……こっちが俺の本当の姿だっての!

「ええ……はい。ちょっとそこまで、夕方には帰って来ますので」

「承知致しました」

「それで、このことなんですがあの三人には秘密にしておいて下さい」

「三人?」

「翼と楓と翔さんには……」

「なるほど、そういうことですか。安心して下さいませ、このことは私の胸に留めておきますので」

どう解釈されたのか気になるとこだが……。

「あ、ありがとうございます」

確か、翼は部活の練習で、翼は試合、翔さんも演劇部の顧問で学校って言ってったけ。
街でも会わないように気をつけないとだな。

あいつらとバッティングしたら……。この言い訳すら通じなさそうな状況下では、想像するだけでも恐ろしい。

「お気を付けて」

「はい、行ってきます」

俺は扉を開けると外への第一歩を踏み出した。
まぁ、そんな大袈裟なモノでもないのであるが、これから訪れるであろういくつもの関門を突破できるのか?と考えるとつい大事に捉えてしまう。


「せっ先輩っ!!」

「どわぁっ!!お前!!いつの間にっっ!!ってか何で俺の家知ってるわけ?」

「翔先生が教えてくれたの。私も英語教わっているから」

あの人は~っっ!!全く、油断ならんっ!

「まさか今日のことは言ってないよね?」

「デートするってこと?そんなこと言うわけないじゃない。千晶先輩とお出かけするって言っただけよ」

「何――っ!!意味同じだし」

あの人のことだ、きっと楓→翼に伝わっていることだろう。

俺の努力は虚しくもここで終わりを遂げたのだった。