「頼む!この通り!このことは誰にも言わないでくれ!」
神に拝むかのごとく年下の後輩に手を合わせる。
そんな姿が情けなくも感じるがこの状況ではそんなことは言ってられない。

「どうしよかな~っ」

「その代わりなんでも言うこと聞くからっ!お願いしますっ!えっ~と……」

「紫(ゆかり)だよ、春日紫(かすが ゆかり)!じゃあ、今週末の日曜日に紫とデートしてっ?ね!先輩っ!!」

で、でーとぅ~?!
……ってか随分馴れ馴れしくないかい?

「あのな……他にもあるだろ、もっと可愛いお願いが。例えばソフトクリーム奢って下さいとか……」

「だめ?」

「いや、ダメじゃないけど……誤解されやすいって言うか」

「見られたらマズイ相手がいるんだ」
この沈黙が痛い。

「……分かったよ!分かりましたよ!デートすりゃいいんだろ!ただし一回だけだからな!」

「わ~い!ありがと、千晶先輩っ!」

春日は楓より太刀の悪い「悪女」かもしれない……。
そんな予感がしている、今日のこの頃。