そんな事を考えていると猫耳少年が近づいてきた。 『僕はキティ、キティ=クオン。役は《チェシャ猫》お姉さんは?』 ニコッと目を細め笑う。可愛い…、美少年というより可愛い弟の様だ。朝日に照らされ輝く水面の様な、キラキラした黄金の瞳。 「ええっと、私は…」 あれ… 「私…は………?」 私は………誰? 私は高校三年、父・祖母・妹の三人暮らし、母は五年前に病気で他界。うん、覚えてる。父は公務員で妹は三つ違い。これも覚えてる。私の名前は…… わから……ない…