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「美歌…準備
出来た…?」

「うん……」
今日は引越し
当日…
昨日
コンサートも
無事終わり…
この町とも
お別れ……
「美…歌…?」

「へっ!?」
私の頬には
何時の間にか
大量の涙が
溢れ出ていた…
「だ…いじょ…うぶ…
なんっ…でもないっ…」

「美歌ちゃん!!」
えっ…?
【美歌ちゃん】
久し振りにこの
名前を呼ばれた…
「1人で抱え込んじゃ
ダメよ…美優も
そんな美歌ちゃんの
姿見たら絶対心配
する……」
お母さん…

「詩…帆…さっん…」
私はお母さんを
名前で呼んでしまった…
「ごめんなさい…私…」

「いいのよ。無理
しないで…いつでも
名前で呼びなさい…」

「詩帆さんっ
ありがとう…」
ごめんね…お母さん…
お母さんはこんなに
優しいのに…
母親なのに…

「ねぇ…引っ越すのは
辛い…?」
お母さんが意外な
質問をしてきた…
でも…本当の事なんて
言えないよ…

「ううん!辛くない…
私には歌があるから…」
詩帆さん…ごめんね…