「では、夜の8時には、そちらに行けると思いますので、よろしく御願いします」

正和は、携帯電話で都内のビジネスホテルに宿泊の予約をした。

「良かったね・・・・・・予約とれて」

敦子の言った言葉に、正和は苦笑いをした。

結局、敦子が正和をひっぱるようにして強引に誘った。

敦子が運転するレクサスは、東関東自動車道を都内へと走らせた。

「ねぇ、懐かしいでしょう」

敦子が、カーコンポから流れてくる、サザンの『恋の女のストーリー』を聞きながら助手席の正和に言った。

この曲は、正和と敦子がバンドを組んでいた頃、よくコピーしていた。

「迷惑だった・・・・・・? 昔の恋人に誘われて・・・・・・ 」
再び、敦子が正和の心を探るように尋ねた。