白い月〜destiny〜

「あの…ありがとうございました。本当に助かりました。」

改札口まで来たところで私はお礼を言った。

その時はもうすでにその人は私の肩から手を離していた。


「いや。別にたいした事じゃ。僕はただあなたを連れて逃げてきただけですから。」

その人は照れたように頭を掻きながら言った。

「でも…もう終電無くなっちゃいましたね。僕はタクシーで帰りますけどあなたは?」


そうだった…もう終電ないんだった。今月ピンチなのに。

私は意を決して言った。

「あの…帰りのタクシー代は私に払わせてください!助けて頂いたお礼をしたいんです。」