白い月〜destiny〜

「お客さん。病院見えてきましたよ。」

運転手の声にハッとして 目を凝らすと 遥か前方に病院の建物の一部が見え隠れしていた。


このままじっと座っているよりは 自分で走ったほうが まだ気が楽だ。

僕は運転手に車を止めてもらい 料金を払うと釣りもそこそこに飛び出した。

僕は全力で走った。


心臓や肺が悲鳴をあげたが 壊れたって構わない。

早く…。


一秒でも早く。


美月の笑顔が見たい一心で走り続けた。