白い月〜destiny〜

「19時ちょっと前か…。」

僕は腕時計を見て呟いた。

もう間もなく駅に着くので 送別会には充分間に合いそうだ。


二日後…僕はニューヨークへ出発する。


向こうへ行ったら 日本へ帰ってこれたとしても 正月位だろう。


慣れない外国暮らしをする不安よりも 美月に会えなくなる寂しさの方が大きかった。

いや。

僕の心を占めていたのは 美月の事がほとんど…と言っていい。


すでに針穴のように開いている寂しさがどんどん大きくなり いつかブラックホールになる。

そのブラックホールに自分は飲み込まれるんじゃないか…そう思うと怖かった。


美月の存在は…それほど大きかった。