放送室から出た弓倉。 窓の外は大雨。 校舎の中はいつもより数段暗い。 もともと人気のない旧校舎に渡れば、 昼間の学校とは思えないほど湿った空気に支配される。 カッ、ごろごろごろ……。 断続して入る雷の光りが、廊下や階段を白く照らす。 用のない生徒ならば絶対近づかない雰囲気。 そんな空気の中で、 弓倉は廊下で立ち止まり、 窓からいくぶん間をあけて外を見た。 カッ……、 また遠くで鈍く光りが落ちる。 その光りに照らされ、弓倉は一瞬だけ身を固くする。