鈴璃は背を伸ばし、 電話の向こうの弟が間違っても出てこないように、しっかりと言った、 「買い物には帰ってから行くから、家にいて」 それは姉声。 弟を必ず頷かせるときに昔から出る声。 ややきつくなる口調と、お願いする口調があわさった、無意識で出る声で、 鈴璃がこの声を出したときに弟が首を振ったことは一度もない。 「……うん、分かった」 そして今日も、 鈴璃の言うことを聞く高志。 「気をつけて帰ってきてね、お姉ちゃん」 最後まで自分を心配して電話をきる。