2-2 鈴璃の弟 その1 「高志」 まず、弟の名前を呼ぶ鈴璃。 それだけで用件は伝わった。 「あ、お姉ちゃん、いま帰り?どこから電話してるの駅、学校?」 「駅」 「降りたところ?乗るところ?」 「降りたところ」 「じゃあ、迎えに行くね」 「来なくていいから、待っていなさい」 当然のように言う弟に、 鈴璃は素早く言いつける。 「でも、お姉ちゃんは、また途中で買い物してくるんでしょう?」