誰も直接の被害を受けなかったので、 事件にも事故にもならず、 ただただ弓倉の心身に恐怖が残った日。 「か、雷は怖いのだぞ……」 弓倉は、枕を仮想高志にしてみた。 ただの枕のときよりも強く抱く。 本物と違って、 抱き返してこない代わりに、文句も言わない。 今夜は、この枕を抱いて寝よう。 弓倉は決めて、ベッドにもぐりこんだ。 目を閉じて、命令する。 「私を守れよ、少年」