弓倉のアパート。


弓倉が帰宅した後、落雷が再開した。
そして、停電。

近年では珍しく、なかなか回復しない。
暗闇の中で弓倉はペタンと正座していた。

ひとりなので、遠慮なく雷がなるたびにビクビクしている。

「ふん、暗くて誰にも見られないのが好都合だ」

強がってみる。

昼間、高志につけた爪跡は撫でても消えなかったが大丈夫だろうか?

素で固まってしまったので力加減ができなかった。

反省しつつ、やはりあんな自分の姿を見た少年が悪いことにする。

家族の誰かに気づかれたときは、

最悪、雷嫌いの教師に組み付かれたところまでバラしてくれればいい。

それ以上、深く勘ぐってくるものはいないだろう。

……たぶん。

「いたら、しばらく出入り禁止だ。少年」