桶を拾い上げて、湯船につっこんだ方が近道か? 考える鈴璃。 と、そこに、 「お姉ちゃーん、大丈夫ーっ!」 脱衣場の方から、懐中電灯をたずさえた助けが来た。 弟の高志だ。 叫び声とともに、浴室を仕切る磨りガラスの向こうから灯りがあてられる。 「お姉ちゃーん、いるんでしょーっ」 暗闇の中にいた鈴璃より、はるかに焦った声。