鈴璃は髪を洗う手を休め、薄目を開けて自分の手を見た。 痕があったほうの手をもうひとつの手で握り、ぐっと絞めてみる。 甲に残る爪痕。 鈴璃はそれを見てつぶやいた。 「……両手ね」 と、その時、 ズッ、ガーーンッ!! 閃光と地響きが同時に届き、一瞬で周囲が闇に落ちた。 完全な暗闇。 停電。