夜。 夕暮れまえに一時あがった雨は、 陽がおちてまた降り始め、 草壁家の長女、鈴璃が、 夕食をすまして入浴するころには再び豪雨となった。 遠く、近く、 雷も混じって嵐の季節を演じている。 カッ。 ゴロゴロゴロッ。 雷の閃光。 揺れて鳴る窓ガラス。 鈴璃は、雷はとくに怖くない。 が、 なにか弟の様子がおかしかったので早く出ることにする。