弓倉は、床を蹴った。
「建物の中にいれば安全だと理屈では知っているのだ。だから、独りならば独りで耐えられる。それを君がもたもたとやってくるから、君などにしがみついて身をまるめることになる。やはり君が悪い、そう思う、そう思え。だいたい……」
「先生」
「口を挟むな、黙って聞け」
「でも、次の雷がそろそろ落ちるころですよ」
「むっ」
とまる先生の口。
怖がる先生が窓へ向き直ったそのとき、
カッ。
狙いすまして、窓の外が強く光った。
「先生、爪、爪、つめええーーっ!」
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