鈴璃は気を入れ直した。 状況を楽しまれているのは別にして、家族の注文を聞いてから、それにかかりっきりになってしまった。 その分、香織が何往復もしていたように他のみんなが働いている。 調理場では、 鈴璃が立ちんぼになっている間、 力自慢の男子がひとつのフライパンに何人分もの食材を入れて、 汗をふきながら腕をふるい続けていた。 鈴璃は皆の働きに感謝して、家族のところに品を届けにいく。 「お待たせ」 「きた」 鈴璃が順にテーブルに品を並べていくのを、弟は両手を膝に乗せて見守っている。