香織は、また鈴璃が反応するまえに注文をとりに出て行く。
鈴璃は、小さく頭をふって弟を見た。
弟は、クラスメイトから笑顔をもらうたびに嬉しそうにしている。
普段はとても照れ屋なのに……。
姉の友達だと分かっているから、落ち着いているのだろうか?
もしかして、年上の……。
「草壁さん、弟君達のテーブルの品がそろったよ」
「……!」
鈴璃は、調理場から声をかけられて、思考を区切った。
用意されたスパゲティーセットを前に、もう一回頭をふる。
「どうしたの?なにか間違い?」
「ううん、ごめんなさい。ちょっとぼーっとしてた」
鈴璃の様子に、調理場の仲間は小さく笑った。
こっちも楽しんでいる。


