「友達の弟って、理由もなく可愛く見えるよね」
空の食器を運びながら、香織が鈴璃に気になることを言ってくる。
そして鈴璃が答えを返す前に、別のテーブルへの品をトレイに乗せて運び出ていく。
そういうのとは違うような……。
鈴璃はクラス全体の雰囲気を読む。
たどりつく答えは、すごく単純。
(みんな、面白がっているだけ)
鈴璃はもう一度、弟を見る。
弟自身は、周囲の視線を気にせずに楽しんでいるようだ。
「なら、いいか……」
鈴璃は、つぶやいた。
すると、空のトレイを持って戻ってきた香織が、鈴璃にさらに気になることを囁いた。
「それで、友達のお姉ちゃんって綺麗に見えるよね」


