「それは……」 「君の無事な帰宅の為に、一刻も早く雨が上がるのを祈るばかりだ」 「祈ってるんですか?」 「他に天気の変え方を知らんからな」 弓倉は外を見た。 まだまだ雨足は強い。 高志の言うように、これからさらに酷くなっていくようである。 「とにかくだ」 弓倉は、高志に向きなおる。 「いつかは帰すとして、無事に家まで着いてくれよ。そこいらの溝や河川を覗き込んで流されたりしないように」 「先生、心配しすぎです」