「お、誰かと思えば莞爾君じゃないの!おかえり〜」
「ただいまっす。あ、宇佐兎さん鮭とばって知ってます?」
「おぉ!寒い場所で名産だよね!あれはお酒に合うんだよね〜」

寒い…場所?
莞爾よ…君は一体何処を泳いで来たのだ?

苅麻の頭に疑問が浮かんだが、すぐに打ち消した。世の中知らない方が幸せな事は沢山ある。
苅麻は髪で隠れた目の部分を触る。
知らない方が…な。

「るま君!苅麻君!」
「あ、はいはい」
「どうしたの?ぼーっとしちゃって」
「ああ、なんでも無いですよ。最近寝不足で」

苅麻がおどけて言う。

「じゃ、宇佐兎さん。着替えて来ますよ。あ、鮭とばはお土産です」

莞爾が従業員室に走っていく。
その姿を見る苅麻を宇佐兎は見ていた。
何かを見抜くような目で…。