早朝の喫茶店。
中には二人の男女が。
女性は背が低く、男性は片目を髪で隠している。

「宇佐兎さん〜。下拵え終わりましたよ〜」

片目が言う。

「ん〜?お疲れ様〜。いやぁ、苅麻君は良く働くねぇ」

どうやら女性は宇佐兎。
男性は苅麻と呼ぶらしい。

「あ、牛乳が少ししか無いっすよ?」
「む〜。昨日飲み過ぎたか…」
「宇佐兎さん…何杯飲んだんですか…」

ニパックは減ってたぞ。

「知ってる?苅麻君。牛乳飲むと背が伸びるんだよ〜?」

苅麻が牛乳のパックの側面を見る。

『君も牛乳飲んで骨を丈夫に!』

…黙っておこう。

「じゃぁ、吊して来て」
「…何を?」
「…ん?首でも吊したい?」

宇佐兎が笑顔で答える。

「宇佐兎さん…笑顔が怖いです」

宇佐兎が『Open』と書かれた札を渡す。
苅麻がドアを開けると二月の寒い風が流れて来た。