「あの時、ちょっともみ合いっていうか…まぁ、そんな感じになったじゃん?」
「あ、ああ」
「そん時さ、お前やけに軽いっつうか、力無かった。手首、真剣握っている様だったけど、全然痛くなかったし」
「…う、ん?」
「だからさ、それについて後からよ~く、よ~く考え直したんだけどさ、ショウって…」
……女?
「…ぇ」
あ、あは、あははははははは。
……返す言葉が御座いません。
ぐるりと半回転。
ヒロヤくんに背を向けてその場を逃げようと大きく一歩踏み出すと、ぐぃっと掴まれる腕。
「…やっぱ、そうなんだ」
「い、いやいや。ちょ~っと急用思い出してさ」
とか言うけど、何やってんだ俺―…ッ!!
女かって訊かれて逃げ様とした時点で、アウトだろうが!!
ちょっともみ合いになった時に、行き成り乗ってきたから思っていたが……
ヤバい、ヤバいぞ…。
コイツはヤバいーッ!!
いらない(普通考えない)こと深く考えて、嫌な結論出しやがってー!!
しかもあってるー!!
「なぁ、お願いあんだ」
それはコッチもですよ…ッ!
「俺と、付き合って?」
その手を離せ…って…
……はい?

