まだズキズキと痛む傷は、ちゃんと塞がっていない。
勢いで、割と深く切ったからな…。
もしかしてこの人、今更って感じだけど…悪い事したって思っているのか?
そんな神経、(失礼だけど)無さそう…。

「あ、あのさ…」

別に用が無いなら帰らせて頂きますが。
そう言おうとした言葉は、ヒロヤくんの言葉で消された。

「ちょっとさ、散歩しようぜ」

「…ぇ、ヤダよ」

にっこりと笑みをこぼしたヒロヤくんは、俺の言葉に構わずに、腕を引っ張って路地を進み出した。

…ちょっとー、俺の拒否権無しですか。

今日は何だか雰囲気からして、あの時みたいなことはしてきそうにないけど…、
だ・け・ど!!



気は、抜けない。