カウンターの前を通り過ぎて、冷房が利いた空間から、生暖かい外へ。
カラオケボックスのビルと隣のビルの間を抜ければ、小さな公園に着いた。
こんなところ、あったんだ。
なかなかここら辺を歩いたりしないからなぁ…。
ベンチに腰かけて、意味もなく携帯を開く。
アキちゃん、何で一週間も何の連絡もくれないんだろう。
辺りをよく見渡して、誰もいない事を確認して、光を放つ携帯の画面に目をやった。
こんな暗くて、何気に人が来そうなところは、あまり一人でいたくない。
……守ってくれるって言ってたのに。
こんなになるんだったら、携帯のアドレス交換しておくんだった。
毎日一緒にいたのに、お出掛けもしたのに、携帯のアドレスをまだ交換していないって
……どうよ。
アキちゃんは勝手に合鍵を作ったりしたけど、連絡手段となる携帯には、絶対に手を出さなかった。
どうしてだろう。
アキちゃんって、本当にワケ分かんない。
ある意味、ミステリアス。
……って、何もんもんと考えてんだ…?
俺は女であって、アキちゃんも女だろ!?
何なんだよ、俺ッ!!
さっきから考えたこと思い返せば、まるで、まるで…
恋してるみたいじゃねぇか…ッ!?
ないないないない!!
絶対ない!!!
ありえない!!!!
頭をブンブンと左右に振って、パタンと携帯を閉めた。

