相合傘


ちょっと~、ずっと隣にいてよ…。
ほらほら、何か来たぁ…。

マイクを俺に差し出してきたヒロヤくんが、俺の隣に座ってきた。

「何かさっきからノってないな。こういうの、苦手?」
「いや、ていうか、初めて」
「へぇ~、そうなんだ」

ヒロヤくんはグラスを手に取ると、俺に差し出した。

「ま、こういうとこは楽しんだ方が得だよ?」
「あ、はぁ。ありがとう」

差し出されたグラスを受け取ると、アキラくんと目があった。
さっきは笑っていたのに、今のその顔はスッゴク機嫌が悪そうな顔。



な、何?俺、何かした?



するとヒロヤくんは、俺の後ろに腕を回してきた。

「ちょ、何…?」
「いや…、ショウってさ、男の割には可愛い顔してんなー、って思って」

じぃっと覗きこんでくるその瞳は、俺の全てを見透かしてきそうで、その真っ黒な瞳が俺を目で撫でた。

「…あ、ああ、よく言われるんだ。困ったもんだぜ」

なんて言って、俺はこれでもかってくらいに壁に付いた。
なのに、ヒロヤくんはこっちにズリ寄ってくる。

止めて下さい、勘弁して下さいぃッ!!
俺、『男性恐怖症』なんですよぉッ!!