「…こ、此処?」
「そう、此処!」
引っ張られてやってきたのは、とあるカラオケボックス。
…カラオケって事は、優奈が隣に居ない事が多いんじゃない…?
さぁー、と血の気が引いていくのを感じ、俺は回れ右をした。
「やっぱ、御断りしま…」
「あ、優奈ちゃんッ、今着たとこ?」
俺が進もうとした方からやってきた男の子は、優奈に声を掛けた。
茶髪の男の子と…
「…あ」
「え!?」
今日の朝、アキちゃんの部屋から出てきた、黒髪の無造作ヘアーなあの男の子。
かなり驚いた様な、動揺した様な顔で俺を見た後、さっさと店内に入って行ってしまった。
「何アレー?」
「優奈ちゃんが可愛いから、ドキドキしちゃったんだよ」
「え~、ジュンったら冗談お上手~」
「あはは」
「……」

