大学の講義に出て、校舎から出ると夕陽が顔を出していた。
今日は久しぶりに、丸1日講義があったから、椅子に座りっぱなし。
あ~、お尻痛い。
肩にかけているショルダーバッグを担ぎ直した時、トントンと肩を叩かれた。
「ショーちゃん、なんか疲れきった顔してるぞぉ」
「あぁ、今日は久しぶりに丸1日講義があったからさ」
「へぇ~」
この人は風間優奈。
同じ学部で、同い年。
俺が入学して一番最初の講義で、鞄ひっくり返した時に(何やってんだか)ノートとか拾ってくれて、その時に隣の席に座らせてくれて。
落ちた俺の私物の中には、もちろん生徒証明書が入っていて、それを見た優奈には、俺が女だと当然その場で知られた。
男の子かと思ってた。とは言わずに、最初に優奈が俺に言った言葉は、
『運命的な出会いをしたと思ったのに…』
…だった。
「ねぇねぇ、今日ヒマ?」
優奈は俺の腕に自分の腕を絡ませながら、携帯を片手に取り出した。
きっと、今日もどこかに失踪しているあの子は俺の部屋に来ないだろうから…
「ああ、何も入ってないよ」
「じゃあさ、合コン参加してくれない?」
男として、ね。

