今日は大学の講義が入っていて、俺は朝食を済ませ、食器を片付けた後、愛用のショルダーバッグを肩から下げた。

お出掛けから一週間。
なんだかんだ言っても、あのお出掛けは結構楽しかったかも。
…家に帰る時、あの男の人たちが絡んでこさせしなければ、本当に素直に楽しいと思えたんだろうけど。

何て思いながら、靴を履いた足でトントンと地を蹴って、玄関から出て鍵を掛けた。
まぁ、用事があるならいつでも来るか。
アキちゃん、合鍵持ってるもんな。
鍵を抜き出した時、アキちゃんの部屋の扉が開いた。
反射的に視線を寄こせば、そこから出てきたのはアキちゃんではなく



……男の子。



背はアキちゃんと同じくらいで、無造作なくしゃくしゃの黒い髪に、スラリとした長い脚。
アキちゃんが勝手に付けた名前だが、『男性恐怖症』の俺が、少々見惚れてしまった。

い、いかんいかんッ!!

その人は俺に一礼すると、すたすたと廊下を歩いて行った。
アキちゃんの部屋から出てきたってことは、いるのかな?
そう思い、インターホンを押すけど何の返事も無かった。



「…どこいんだよ、アキちゃん」