周りから見たら、アキちゃんは生き物を見ることで忙しそうだけど、
何気に、ずっと。
ちゃんと俺を守ってくれている。
ペンギンを映しまくってる今だって、何気に俺の腕に手を掛けているんだ。
「十分、楽しめました?」
「うん、もう腹いっぱいなくらいに!!」
満足満足という笑みで、アキちゃんはデジタルカメラに写した魚や動物たちを、水族館から出た今も見ていた。
本当に好きなんだ。
ま、隣で行き成り転んだりしないでよ。
なんて思いながらついた小森駅。
「…ねぇ、バス乗って帰ろう?」
俺はアキちゃんを見上げて言った。
ここに来る時乗った電車で、アキちゃんは俺と同じ様に痴漢にあった。
今日、水族館であんなにキャーキャー言っていたけど、本当は心の何処かに恐怖とかが残っているはずだ。
だから、あんなに騒がしくしていたのかな?
俺に心配掛けさせない様にしてたのかな?
…って、思ったりした。
「え?何で?大丈夫だよ。行きみたいにちゃんと守ってあげるから!」
「そういう事じゃなくて、俺はアキちゃんの心配してんの」
ちょっと怒り口調になってしまったけど、アキちゃんは俺の言葉を聞いて笑った。
「あはは、あれは確かに吃驚したけど、本当に大丈夫だから」
わしゃわしゃと頭を撫でるその手は、熱いこの季節なのに冷たくて、心地良くて。
本当はショウが怖いんでしょー?なんて言いながら、アキちゃんはその手で俺の手を握って歩きだした。

